すげぇ、こんなビデオよく残ってたなあ。
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Barb Wire (#1: Devil In The Dark) Chris Warner & Team CGW, US 1994 Dark Horse Comics |
パメラ・アンダーソン(愛称はパム)は90年代のアメリカの、まあ、グラドルみたいなもんだ。なのに、ベストヒットUSAはもちろん、ラジオの洋楽番組なんかでもけっこう名前が出てくる女の子だった。その理由は、モトリー・クルーのドラマー、トミー・リーと結婚して、これがもう酷いゴシップ続きの日々・・・ヘビメタ界のオノ・ヨーコ、てのは言いすぎか。
このビデオは、有名なナイトクラブ「バイパー・ルーム」からトミーとパメラが出てきて、トミーがパパラッチをブン投げ(00:05あたりから)、車で一旦離れるが、戻ってきたパメラが周りのパパラッチと言い争いになり(01:14あたりから)、取り巻きが二人を車に乗せて急発進で去る、というやつである。
パパラッチが「Babe(ベイビー)はどこ行っちまったんだ?」などと煽りはじめた途端、「クソ野郎!ぶっ殺してやる!」と激高するパメラがバッチリ撮られてるけども、彼女にはゴメン申し訳ない、いろいろ懐かしく思い出したのでつらつら書こうと思う。
パパラッチは単にBabeだけでなく、Your babeとも言ってるので、この状況なら本来の意味はパメラの旦那トミーのことを指している。
んが、実は、このビデオのちょっと前に公開された映画の決め台詞にも引っかけたBabeなのだ。なもんだから、パメラの感情メーターが振り切れしてしまった。
Kill you!! - The Viper Room. Sunset Strip CA, US 1996
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車中でのトミーはペッパースプレーどうこうよりも、ドラッグがきれかけて鬱になってるだけのように見える. Pamela gets pepper sprayed after attacking Paparazzi with Tommy at The Viper Room. MEGA / The Hollywood Fix |
この時期は丁度、パメラが初めて主役を演じ、後にゴールデンラズベリー賞を総ナメにした映画「Barb Wire」(バーブ・ワイヤー)が大ゴケしたばかりだったのだ。
Barbは「棘」とか釣り針の「かえし」部分とかから「抵抗」的な感じも含んで、「Barb Wire」は「有刺鉄線」という意味になる。元々はダークホース社の漫画が原作で、近未来の主人公バーバラの裏の顔が「バーブ・ワイヤー」あるいは単に「バーブ」と通称される賞金稼ぎなんである。
ちなみに、映画でバーバラの彼氏アクセルを演じたのがテムエラ・モリソン。まさか後年になって、スター・ウォーズやマンダロリアンでジャンゴ(ボバ)・フェットを演じることになるなんて誰も想像してなかった。
まあ兎も角だ、バーバラは職業柄?ギャングや犯罪者、権力者なんかと対立せざるをえない。それで対峙した時の男連中は彼女が美人なもんだから、言葉の最後についBabeと言ってしまう。
で、彼女の決め台詞となるワケだ。
Barb Wire (Pamela Anderson):
You're not going soft on me, are you?
バーブ・ワイヤー (パメラ・アンダーソン):
わたしのこと舐めてたでしょ?
Goon (Miles Dougal):
O, okay... okay!
You can have him.
悪党 (マイルス・ドゥーガル):
わ、わかった・・・わかった!
奴(クレブス)はお前のもんだ
Barb Wire:
Good.
You're my last bail jumper, Krebs.
Wake up, sunshine.
バーブ・ワイヤー:
よし
お前が最後のベイル・ジャンパー※よ、クレブス
起きな、朝よ
※保釈中に逃亡して受刑逃れしようとする人のこと.
Krebs (Loren Rubin):
Please don't kill me!
クレブス (ローレン・ルービン):
殺さんでくれ!
Goon:
That was nice kicking...
You really know your stuff, babe.
悪党:
いいキックだったぜ・・・
マジでやるじゃねえか、ベイビー
Barb Wire:
... What did you call me?
Don't call me... babe!
バーブ・ワイヤー:
・・・なんて言った?
わたしのことを・・・ベイビーと呼ぶんじゃねえ!
Don't call me babe! (Movieclips 3/10) - "Barb Wire" David Hogan, US 1996
Don't call me babe! (Movieclips 9/10) - "Barb Wire" David Hogan, US 1996
さて、最近じゃネットにプライベートなビデオや写真が流出して騒動になるなんて当たり前すぎて話題にもならない・・・まあ、それも内容次第ではあるけれど。
2000年代に入ってから、パリス・ヒルトンやハルク・ホーガンのネット流出事件によってその被害や怖さが広く知られるようになったが、それよりも早い1990年代、つまりネット黎明期に被害者となった最初期の代表的なセレブがパメラとトミーのカップルだったのだ。
とまあ、話題にはこと欠かないお二人だったんで、2022年には彼らの人生を盛り込んだドラマ「Pam & Tommy」(パム&トミー)まで制作された。こちらの評判はまあまあで、当時の様子がいろいろ再現されている。パソコンやネットがまだ動画に対応しきれていない時代だったから、犯人たちがメールや掲示板で告知してから動画そのものはビデオテープにダビングして郵送販売する、なんていう一連の手法までけっこう丁寧に描写されていた。
それにしても、自分たちで自分たちのセックスを撮るのはどうぞご勝手に、としても、トミーが常時ラリってるんで始末が悪い。
が、少なくとも当時のパメラはパメラなりに旦那を守ろうと必死だったんだろう。
Paparazzi (Richard Sanderson):
Pam, Tommy, give me a big smile!
パパラッチ (リチャード・サンダーソン):
パム、トミー、笑ってくれ!
Tommy (Sebastian Stan):
God fuckin'!! Damn it!!
You want this fucking picture!?
I'll give you a fucking picture!!
トミー (セバスチャン・スタン):
クソ野郎!! 畜生が!!
こんなクソみてーな写真が撮りてーのか!?
クソ写真を撮らしてやろうじゃねーか!!
Pamela (Lily James):
Die!! You fuck!!
パメラ (リリー・ジェームズ):
死んじまえ!! クソ野郎!!
I'll give you a fucking picture!! - "Pam & Tommy" Lake Bell, US 2022
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拡散や炎上を狙って使われる「激怒」や「逆切れ」なんて単語は、実際に見ればそのほとんどが大した内容じゃない. だからといって、本当に言葉通りのリアクションをされても困ってしまうが. "Pam & Tommy" Season 1 - Episode 4: The Master Beta D: Lake Bell W: Matthew Bass & Theodore Bressman. Hulu, LLC. |
まあ、ゴシップも積もり積もって伝記が出版できるくらいになれば、不安定な業界であっても年金代わりにはなる。それに、今となればアイコン&ミーム化しちゃって、熱心なマニアがいるのも事実だし。
更に、彼女自身の映画はB級だったけど、意外にもサントラは充実してたしね。トミーとパメラも曲を提供してるからどうしてもヘビメタ系に偏りがち、ではあるけれどGunのWord Up!なんかは日本でもよく流れてたので聴けば90年代を思い出す人も多いだろう。
それにしても・・・Shampooを聴いたのって30年ぶり?くらいかもしれないなあ。
いやあ、ホント懐かしかったぜ、ベイビー!
あ、ゴメン、つい・・・