ノーラン監督がオッペンハイマーを映画化すると聞いた時から「これは絶対に映画館で観る!」と決めていた。
そのために貯金だってしてた。アホかと思うかもしれないが、貧乏な身上もあって、今や映画館まで出かけて行って映画を観るって行為は余程の作品じゃないと納得できない。だから、貯金してたのだ。
んで、今年7月に例のネットミーム「バーベンハイマー騒動」である・・・あーあ。
オレが一人でワーワー騒いだからって公開されるわけでもなし。かつて、コッポラが三島由紀夫を描いた「MISHIMA」だって40年近く前の映画なのに未だにまともに観ることができない。これは逆輸入盤でなんとか観れたが、まあ兎に角、こうなると国内の配給でオッペンハイマーを観るのはほぼ不可能な状態になってしまった。
じゃあ、貯金していた3千円くらいの映画代をどうするか・・・考えるのも馬鹿らしくなって、何でもいいから兎に角「映画館で映画を観る」って行為そのものを久々に楽しんでみよう、となった。映画なんて博打みたいなもんなんだから、本当に何でもいい。
そこで、映画「バービー」を観た。
公開数日後で、入りは半分くらい、女性が8割、男一人で観に来てるのはオレも含めて数人くらいか。
マーゴット・ロビーは正に生きたバービーで、よく演ってた。評判になってたケン役のライアン・ゴスリングはそんなでもなかったような気が・・・というか、元々ああいった、勘違いしたゲイっぽい雰囲気のある人だと思ってたから、ぶっ飛んでるギャップをあんまり感じなかったのかもしれない。
それよりも、バービーで食ってるマテル社の上層部が男だけで占められてるってのは、業界にとっては最大の皮肉だろう。ウィル・フェレルが単なるおバカなCEOを演じて終わりだったのは残念だったが、このあたりを突っつきすぎると本物の業界批判になるので敢えて避けたのかもしれない。
物語後半で「70点くらいかな」と思っていたら、ほぼ終盤、ある実在の人物が出てきて、これにはオレも涙が出た。ちょっとずるいと思ったが、それで最終的にはトータル85点である。
さて、久々にそんな「映画館体験」をしたものの、今年一番面白いと思った映画はアマプラで観たジェラード・ジョンストーン監督の映画「M3GAN」だった。
Amie Donald, M3GAN, and Violet McGraw "M3GAN" Gerard Johnstone Universal Pictures |
先日、このM3GANが今年のみうらじゅん賞を受賞したと知って、さっすが新宿のMJ!と苦笑いしてしまった。
主役のケイディ役はバイオレット・マッグロウ。もう一人の主役、ミーガン(Model 3 Generative ANdloid)役は、中の人をエイミー・ドナルド、声をジェナ・デイヴィスが演じ、最終的な完成形はエイドリアン・モロットとキャシー・ツェーのメイク・スタジオが仕上げている。
このミーガンがなんとも言えず微妙、違った、絶妙で・・・等身は変だし、ゴム手袋だし、中に人が入ってるのもバレバレなんだが・・・やっぱり絶妙としか言いようがない出来なのだ。ただ、彼女のダンスが大いにバズったのは、トレーラー(バージョン2)と劇中のサントラがどちらも、これは言葉通り「絶妙」にマッチしていたことが大きな要因だろう。
先発(バージョン1)ではなく後発(バージョン2)のトレーラーで使用されて爆発的に知られるようになったベラ・ポーチの曲「Dolls」はぜんぜん知らんかった。
Official Trailer 2 - "M3GAN" Gerard Johnstone, Universal Pictures, US2023
Dolls - Bella Poarch, Mv: Andrew Donoho, US2022
Dolls - Bella Poarch Warner Records |
劇中では、ほぼ無名だった(ぜんぜん売れなかった)70年代のロックバンド、スカット・ブラザーズの曲「Walk The Night」が使用されてこれも一躍有名になった。メンバーも今頃になって印税が舞い込んできてさぞや驚いているに違いない。
Dance Scene - "M3GAN" Gerard Johnstone, Prime Video, US2023
Walk The Night (12" Version) - Skatt Bros, US1979
Walk The Night - "Strange Spirits" Skatt Bros Casablanca Records |
まあ、これが面白いと言ってるオッサンたちは、どうせ殺されるならチャッキーよりもT-Xよりも、ミーガンちゃんがいいな、と思ってるんだと思う。
男が評価する映画なんて、そんなもんである。