今月末、ついにタモリ倶楽部が終了する。
タイムテーブルとしては3月31日(金)の24時20分、つまり4月1日(土)の00時20分からの放送が最終回となる。
これで、ニュースやNHK特集などを除き、とうとう自分がテレビで観たいと思う番組が完全消滅することになった。ニュースとは書いたものの、ネットから拾ってきた情報をニュースとして流すだけの番組も増えた昨今、タモリさんの高齢化やコロナのロックダウンといった抗えない要素が加わっていたとはいえ、娯楽番組でありながら「流浪」という名の「現場」を貫く番組であり、現場だからこそのグダグダっぷりも含めて大好きな、貴重な番組だった。
自分はもう、確か2015年頃から単体のテレビを持っていないが、偶然にも最終回の放送日は実家にいるかもしれない。久しぶりに、自分の体を日時やチャンネルに合わせるという化石的行動を以て、リアルタイムで観てみようかな、と思う。しかし実際は、自分の体を日時やチャンネルに合わせなくてよい、という日常に慣れきってしまっているから、見逃す可能性も高いので先に書いておく。
タモリさん、スタッフの皆さん、今迄ありがとうございました。
タモリ倶楽部は本当に楽しい番組でした。
Short Shorts - The Royal Teens, from ABC "The Dick Clark's Saturday Night Beech-nut Show", US 1958
Short Shorts - The Royal Teens ABC-Paramount Records |
最後に、タモリ倶楽部といえば誰も取り上げないようなマニアックな内容が多いので、かの有名なテーマ曲のこぼれ話を書いておこう。
あのテーマ曲は1958年のヒット曲、ザ・ロイヤル・ティーンズ (The Royal Teens)の「ショート・ショーツ (Short Shorts)」だ。
で、どうもYouTubeの影響なのか、女の子を含めた5人組と勘違いされることが多いようなのだが、当時のザ・ロイヤル・ティーンズは男性4人組である。歌詞にある通りで・・・なんか、50を過ぎると書いてて恥ずかしくなる日本語訳だが・・・
まず口笛があって・・・
♂: Oh man, dig that crazy chick.
♂: おい、あの子最高すぎるだろ!
そして演奏が始まり・・・
♂: Who wears short shorts?
♂: ショートパンツ履いてる子は?
♀: We wear short shorts!
♀: 私たちショートパンツ履いてるわよ!
♂: They're such short shorts!
♂: すげえ短いね!
♀: We like short shorts!
♀: ショートパンツ大好きなの!
♂: Who wears short shorts?
♂: ショートパンツの子は?
♀: We wear short shorts!
♀: 私たち履いてるわよ!
・・・という単純な掛け合いの繰り返しで、この♀部分の歌詞をその辺りにいる女の子に飛び入りで歌ってもらうという、演奏とナンパを兼ねた(?)曲なのである。
実際、一番有名な演奏シーン、ABCテレビの音楽番組「ディック・クラークのサタデーナイト・ビークナッツ・ショー」でも、アメリカは当時から口パクが多いんで、つまり、それっぽくアテレコできるなら誰でもよいので、出演者の女の子に即興で歌ってもらっているのだ。途中、つまらなさそうに首を振る男(ジュリアス・ラ・ローザ)がインサートされるのは、この番組が同年の映画「Let's Rock」に流用されたためである。ややこしいが、当時のテレビ番組は原版が残っていないことも多く、映画用に編集された番組の演奏シーンだけが残り、後世になってその部分が切り出されてザ・ロイヤル・ティーンズを象徴する映像になった、といえる。
アメリカでリリースされた当時のシングルは、ほぼそのままのデザインで日本にも入ってきており、タモリ倶楽部のオープニング映像に影響を与えたであろうことが伺える。ちなみに、曲名の下に「and others」とあるが、これはB面の曲「Planet Rock」を指すのと同時に「♀部分を誰かに歌ってもらおう!」という小粋な意味合いにもなっている。なお、前述した映画の件があるため当時のレーベルはABCパラマウントだが、合併吸収を繰り返した現在はユニバーサル・ミュージックが管理している。
日本では1958年というと昭和33年、スバル360やチキンラーメンが発売され、東京タワーが竣工した年だそうだ。不思議なことに、1958年と書くとそうでもないが、昭和33年と書くとなんだか自分の人生にぐっと近づく感じがする。
昭和は遠くなりにけり、ですな。