月神


紆余曲折あったが、今年10月に参加国間で協定も結ばれてようやく目途がついてきた。


アポロ計画の名前の由来となったギリシア神話の太陽神アポロン (ヘリオス) には双子の妹がいる。

黄金の弓矢を持つ狩猟と貞潔の女神、後に太陽神と対になった月神アルテミス (セレーネ、ルナ) だ。

ここから、次の有人月面着陸は「アルテミス計画」と正式に命名されて、予算申請がアメリカ議会を通過した。


主要な計画目標は、「女性を月へ降り立たせる」ことと「有人火星探査の足掛かりを築く」ことである。


How We Are Going to the Moon - NASA, US 2019

&

Artemis Update: A Year of Progress on Returning to the Moon - NASA, US 2020

NASA and International Partners Sign Artemis Accords - NASA, US 2020

Artemis
Humanity's Return To The Moon

NASA


アルテミス計画 (Artemis Program) 概要

主要参加国 ※決定順

・アメリカ (NASA、アメリカ航空宇宙局)

・EU (ESA、欧州宇宙機関) ※主にフランスやドイツ、ルクセンブルクなど

・日本 (JAXA、宇宙航空研究開発機構)

・カナダ (CSA、カナダ宇宙庁)

・イタリア (ASI、イタリア宇宙機関)

・オーストラリア (ASA、オーストラリア宇宙庁)

・イギリス (UKSA、イギリス宇宙局)

・アラブ首長国連邦 (UAESK、アラブ首長国連邦宇宙局)


主要開発機器

・スペース・ローンチ・システム (SLS、打ち上げロケット)

・オリオン (Orion MPCV、有人宇宙船)

・ゲートウェイ (LOP-Gateway、有人月軌道プラットフォーム)

・ヒューマン・ランディング・システム (HLS、有人着陸船)

・アルテミス・ベースキャンプ (Artemis-BC、月面南極基地)


主要日程

第1段階「アルテミス I」

 実施 2021年

 乗員 なし

 目的 ・スペース・ローンチ・システムとオリオンの無人宇宙飛行

第2段階「アルテミス II」

 実施 2023年

 乗員 あり (乗員4名、現在選考中)

 目的 ・スペース・ローンチ・システムとオリオンの有人宇宙飛行

    ・ゲートウェイの打ち上げと月軌道上での建設開始

第3段階「アルテミス III」

 実施 2024年

 乗員 あり (乗員4名、現在選考中)

 目的 ・スペース・ローンチ・システムとオリオンの有人宇宙飛行

    ・ゲートウェイの完成 

    ・オリオンとゲートウェイのドッキング、月軌道上での有人宇宙滞在

    ・オリオンによる月面への有人着陸

    ・アルテミス・ベースキャンプを月の南極に建設開始

第4段階「計画予定」

 ・2027年頃にゲートウェイを利用した深宇宙輸送船の有人実験を開始

 ・2033年頃にゲートウェイまたはアルテミス・ベースキャンプから有人深宇宙輸送船で火星へ出発

 ・2035年頃に有人深宇宙輸送船が火星軌道上に到着、火星着陸は未定

 ・2030年代後半に有人深宇宙輸送船が月軌道上か地球軌道上に帰還

※深宇宙輸送船を使用した有人火星探査は別の計画名称になる可能性が高い.


Artemis Generation: Astronaut Graduation Day - NASA, USA 2020

Newest Astronauts Graduate with Eye on Artemis Missions - NASA, USA 2020

Artemis Generation
Top Row: Matthew Dominick (NASA), Kayla Barron (NASA), Warren Hoburg (NASA), Joshua Kutryk (CSA)
Middle Row: Bob Hines (NASA), Frank Rubio (NASA), Jennifer Sidey-Gibbons (CSA), Jasmin Moghbeli (NASA), Jessica Watkins (NASA)
Bottom Row: Raja Chari (NASA), Jonny Kim (NASA), Zena Cardman (NASA), Loral O’Hara (NASA)
NASA


多分、大きなトラブルがなければコンステレーション計画のように中止にはならないと思う。


予算は、参加各国と協力が決定している複数の民間企業から集め、機器によっては民間企業に一任される。

技術は、アポロ計画やスペースシャトル計画といった実績ある有人宇宙開発の技術を改良して使用する。

乗員は、NASA在籍中の48名と今年選抜された13名に対して既に訓練が開始されている。


どうやら、生きている間に有人月面着陸だけは見ることができそうな感じである。


(アポロチョコに続き、アルテミスチョコにも期待しながら宇宙のお話はまだ続く・・・)