Timothy Bryce (Justin Theroux):
Is that a gram?
ティモシー・ブライス (ジャスティン・セロー):
クスリか?※a
※a グラム(gram)単位で計ることから転じてドラッグ類を意味するようになったスラング。
Patrick Bateman (Christian Bale):
...New card.
What do you think?
パトリック・ベイトマン (クリスチャン・ベール):
・・・新しい名刺だ。
どう思う?
David Van Patten (Bill Sage):
Whoa, ho.
デイヴィッド・ヴァン・パッテン (ビル・セイジ):
おお、ほー。
Craig McDermott (Josh Lucas):
Very nice.
Look at that.
クレイグ・マクダーモット (ジョシュ・ルーカス):
いいじゃないか。
見ろよ。
Bateman:
Picked them up from the printer's yesterday.
ベイトマン:
印刷屋から昨日届いたんだ。
Patten:
Good coloring.
パッテン:
いい色合いだな。
Bateman:
That's bone.
And the lettering is something called Silian Rail.
ベイトマン:
アイボリーさ。
しかもフォントはシリアン・レイルってやつにしたんだ。※b
※b 色の正式な名称と文化的習慣で使われている色、
そして実際の色を合致させることはとても難しい。
そして実際の色を合致させることはとても難しい。
文字通り「骨(bone)みたいな白」だが、アイボリーに見える。
初見した時の字幕が何色の名称で訳していたかは忘れてしまった。
初見した時の字幕が何色の名称で訳していたかは忘れてしまった。
なお、シリアン・レイルというのは架空の書体である。
Patten:
It's very cool, Bateman.
But that's nothing.
...Look at this.
パッテン:
かっこいいがな、ベイトマン。
大したことないぜ。
これを見ろ。
Bryce:
That is really nice.
ブライス :
これマジでいいな。
Patten:
Eggshell with Romalian type.
What do you think?
パッテン:
スノーホワイト(の紙)にロマリアン・タイプ(のフォント)だ。※c
どう思う?
※c「卵の殻(Eggshell)のような白」なので、ツヤがなく真っ白で馴染みのある名称というならスノーホワイトかな、と。
なお、ロマリアン・タイプも架空の書体である。
Bateman:
Nice.
ベイトマン:
いいな。
Bryce:
Jesus.
That is really super.
How'd a nitwit like you get so tasteful?
ブライス:
なんてこった。
こりゃマジで最高だぞ。
間抜けが上品に見えるぜ?
Bateman:
[ I can't believe that Bryce... prefers Van Patten's card to mine... ]
ベイトマン:
[ 信じられん、ブライスが・・・俺よりもパッテンの名刺を選ぶとは・・・]
Bryce:
But wait.
You ain't seen nothin' yet.
...Raised lettering, Pale nimbus... white.
ブライス:
だが待て。
まだお前に見せてなかったな。
もっといいフォントで、ペイル・ニンバスに・・・ホワイト(の紙)だ。※d
※d ペイル・ニンバスも架空の書体。
Bateman:
Impressive.
Very nice.
ベイトマン:
素晴らしいな。
すごくいいよ。
Patten:
Hmm.
パッテン:
うーむ。
Bateman:
Let's see Paul Allen's card.
ベイトマン:
ポール・アレンの名刺を見せてくれないか。※e
※e 主人公のベイトマンが嫉妬する「完璧な男」が
同僚のポール・アレンで、ジャレッド・レトが演じた。
同僚のポール・アレンで、ジャレッド・レトが演じた。
このシーンには登場していない。
Bryce:
......
ブライス:
・・・・・・
Bateman:
[ Look at that subtle off-white coloring.
The tasteful thickness of it.
...Oh my God!
It even has a watermark! ]
ベイトマン:
[ この絶妙なオフホワイトの色具合。
この粋な紙の厚み。
・・・なんてことだ!
透かし彫りまで入ってやがる!]
Luis Carruthers (Matt Ross):
Is something wrong?
Patrick?
You're sweating.
ルイス・カルザース (マット・ロス):
どうしたんだ?
パトリック?
汗かいてるぞ。
"American Psycho" Mary Harron Lions Gate Films |
上記のやりとりは「アメリカン・サイコ」の中でも有名なシーンのひとつである。
これが公開された当時はアメリカ版バブル経済の真っ只中で、これは後のリーマン・ショックへと繋がっている。
登場するのは、裕福な家庭で育ち、いい学校を出て一流企業に勤め、若くしてペントハウスに居を構えるような人物ばかり。
それだと反感を買うから・・というのは冗談で、そういう上流社会を舞台に、同調圧力と承認欲求の葛藤が描かれる。
アホらしい大同小異な自慢比べの中で、充分に恵まれているはずの主人公も勝手な嫉妬と羨望で狂わんばかり。
今こうして思い返してみると、10年くらい時代を先取りしていたんだな、という気がする。
バカッターだユーチューバーだ、そこまでして注目を集めたいか、という心理を理解する一助になるかもしれない。
個人的に理解は出来ても共感はできないが、過激であることが日常化するとやはり麻痺していくようだ。
世間の流れが増々早くなる中で、主人公は殺人鬼になってまでして忘れられる存在にしかなれないのだから。